6月13日~9月23日
三菱一号館美術館
“カフェ”に集う芸術家 ―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで
↑ポスター画像
→アンリ・ド・トゥールーズ= ロートレック《ディヴァン・ジャポネ》1893年 リトグラフ 三菱一号館美術館 ↑テオフィル・アレクサンドル・スタンラン《シャ・ノワール巡業公演》1896年 リトグラフ 京都工芸繊維大学美術工芸資料館(AN.4829)
→ジュール・シェレ《「ロータスの花」フォリー・ベルジェール》1893年 リトグラフ 京都工芸繊維大学美術工芸資料館 (AN.3363)
飲み物を手に人々が語り合うパリのカフェは、今も昔も街の情景である。特に19世紀後半のパリのカフェには、芸術家が三々五々集い、そこでの出会いや議論を通じて新しい芸術や素晴らしい文化が生れている。当時、西洋絵画の主流は歴史や神話の一場面を描く「物語画」であったが、印象派の新進の画家たちは、詩人ボードレールの「現代生活を描くべき」という思想に刺激を受けた。街の風景や劇場の踊り子たち、カフェでお酒を前にして楽しむ人、佇む人などスナップのように日常の一瞬を作品に写し出している。また、カフェやキャバレーを宣伝したポスターも街に貼り出され、近代化の始まったパリの街は活気づいた。特にトゥールーズ=ロートレックはイヴェット・ギルベールといった歌手や踊り子、行き交う観客の姿を鮮やかに描き、近代都市の躍動感を新鮮に表現している。

本展では、“カフェ”をキャバレーなどとともに人の集う場所という広い意味で捉え、19世紀フランス美術を理解するうえで欠かせないテーマの一つとした。印象派からゴッホ、ロートレックなどポスト印象派、ヴァロットンなどのナビ派、そしてピカソ(キュビズム)までの作品で芸術家が“カフェ”という場からどのような影響を受けたか、また作品を生み出した背景などを紹介。カフェ、例えば現在のクリシー大通り9番地にあったカフェ・ゲルボワ(Café Guérbois)には、近くにアトリエがあったマネを筆頭に後に印象派と呼ばれる若い芸術家や新進気鋭の文学者が集い、議論を交わしていたと伝わる。印象派の代表のモネは後年「際限なく意見を戦わすこうした『雑談』ほどおもしろいものはなかった。そのおかげで我々の感覚は磨かれ、何週間にもわたって熱中することができ、そうして意見をきちんとまとめることができた。
↑フェリックス・ヴァロットン《大騒ぎ、あるいはカフェの情景》1892年 木版 三菱一号館美術館
←アンリ・ド・トゥールーズ= ロートレック《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》1891年 リトグラフ 三菱一号館美術館

↑モーリス・ユトリロ《ムーラン・ド・ラ・ガレット》1910年頃 油彩、厚紙 ポーラ美術館
↑ サンティアゴ・ルシニョル《カフェ・デ・ザンコエラン》1889-1890年 油彩、カンヴァス ムンサラット美術館 Museu de Montserrat. Donated by J. Sala Ardiz.
我々は考えをもっとわかりやすく明確にし、意志をさらにしっかりと固めてそこから立ち上がることができたのだ」とインタビューでカフェの思い出、画家たちとの交流を回想している。
この様に本展ではまず印象派とカフェを検証し、近代都市に生まれ変わり始めたパリの多彩な情景を紹介。もうひとつ注目するのはパリの街を
彩ったポスター。パリの歓楽街といえば今でもまず「ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge)」が思い浮かぶ。ここは1889年4回目のパリ万国博覧会が閉幕した後、有名なダンスホールの跡地に開店したキャバレーだ。この店のの出し物を宣伝したシェレのポスターは「夢幻劇のような美しさ」と評されている。2年後、ロートレックのポスターでも宣伝され、モンマルトルは歓楽街の代名詞となった。以降、モンマルトルのダンスホールは、客が踊る形からプロのダンサーのショーを観劇するミュージックホールへ変容したと言われる。シェレがポスターで踊り子の華やかなイメージを描き出す
↑ラモン・カザス《マドレーヌ》1892年 油彩、カンヴァス ムンサラット美術館 Museu de Montserrat. Donated by J. Sala Ardiz.
↑アンリ・ド・トゥールーズ= ロートレック《ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)》1893年 リトグラフ 三菱一号館美術館
一方ロートレックのポスターで出演する男女のシルエットや舞台の照明、そして観客のシルエットなど舞台の裏側を強調した。また、ミルクを飲む女の子をみつめる猫のポスターで知られるスタンランもキャバレーを紹介している。モンマルトルの丘にある「シャ・ノワール(黒猫)」である。この小粋なポスターも19世紀パリの雰囲気を今に伝えている。このほか本展で日本でも初公開となるルシニョルの《カフェ・デ・ザンコエラン》は、画家自身が通ったカフェ。詳細に描かれたカフェの内部は、飲食する男女、斜めに連なるテーブル、ドガやロートレックの影響が感じられ、往年のパリのカフェの雰囲気をよく今に伝えている。
また今回本展のポスターになったラモン・カザスの《マドレーヌ》、ここに描かれたマドレーヌ・ド・ボアギヨームはロートレックの作品でもモデルを務めたことがある女性である。このように近代都市を描いた欧州の作品にはカフェの情景が多い。カフェは文化といわれる所以である。カフェ、バール、キャバレー、ミュージックホール…日本ではとは異なる独特のパリのカフェ文化が堪能できる展覧会となった。
本展で登場するカフェ、 カフェ=コンセール、ガンゲット、キャバレー:総称としての“カフェ”について
カフェ:酒も含めて飲食する場所。
カフェ=コンセール:酒を含む飲食に加えて、演者による大衆的な歌や場を盛り上げるトークが聞ける場所。
ガンゲット:酒を含む飲食に加えて、客が参加する形で踊る場所。
キャバレー:カフェ=コンセールから派生し、芸術的な活動が展開されるようになった場所。「シャ・ノワール」は詩の朗読、演劇、絵の展示、影絵芝居といった芸術的な活動を前面に押し出した最初のキャバレー。

Coming soon!
『“カフェ”に集う芸術家―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで』三菱一号館美術館(千代田区・丸の内) 会期:2026 年6月13日(土)~2026年9月23日(水・祝)※8月4日以降一部作品を展示替え有。開館時間:10:00~18:00(但し、金曜日、第2水曜日、7月25日(土)、9月19日(土)~23日(水・祝)は20:00まで開館。)※入館は閉館の30分前まで 本展の夜間開館は大人向け ※夜間開館時間(18~20時)限定で少し大人向けの“カフェ” にまつわる裏話を紹介。スペシャルトークフリーデー:7月25日(土)15:00~20:00(予定) 休館日:祝日を除く月曜日(但し、トークフリーデー[6/29、7/27、8/31]は開館) 観覧料金(価格はすべて税込)一般:当日 2,300 円 大学生:当日 1,300 円 高校生:当日 1,000 円 中学生:無料 ※障害者手帳をお持ちの方は半額、付添の方1名まで無料。他の割引との併用不可〈チケット窓口〉毎月第2水曜日17:00以降 「マジックアワーチケット」:1,600円 当日の17:00以降に美術館のチケット窓口でのみ販売。※他の割引との併用不可 カラーコーデ割「Rouge Classique」赤いお洋服のお客様は観覧料が100円引き。チケット窓口 にて「カラ ーコーデ割引お願いします」とお声がけを。※チケット窓口での購入のみ適用。自己申告制。※ご購入済みのチケットを後から割り引くことはできません。予めご了承を。※他の割引との併用不可。主催:三菱一号館美術館、公益財団法人ひろしま美術館 後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、インスティトゥト・セルバンテス東京 協賛:DNP大日本印刷 協力:日本航空 企画協力:キュレイターズ 展覧会サイト:https://mimt.jp/ex_sp/cafe/ 国内巡回:ひろしま美術館 2026年10月3日(土)~2027年1月11日(月・祝)
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