7月11日〜9月23日
パナソニック汐留美術館
町田市立国際版画美術館所蔵 長谷川潔展 ―パリに生きた銅版画家の軌跡
↑ポスタービジュアル

→中段上:長谷川潔 《オランジュと葡萄》 1932年、メゾチント

→中段中:長谷川潔 《アレキサンドル三世橋とフランスの飛行船》 1930年、 メゾチント

↓長谷川潔 《思想の生れる時》 1925年、ドライポイント、手彩色(雁皮紙刷り) 上・中・下すべて 町田市立国際版画美術館蔵
パリに渡り、パリで生涯を終えた日本人の版画家長谷川潔の画業を紹介する展覧会。長谷川潔(1891年・明治24年12月9日~1980年・昭和55年)は、神奈川県横浜市に生まれる。1918年(大正7年)にフランスへ渡り、様々な銅版画の技法を習熟。日本とフランス両国を行き来して活動した。
両親を比較的早くに亡くし、父の死去後に東京の中学に進むが、中学卒業前に葵橋洋画研究所で黒田清輝から素描を、本郷洋画研究所で岡田三郎助、藤島武二から油彩を学んだ。体の弱かった長谷川は勤め人は無理と、もともと好きだった絵を描き始めたという。その後、

1913年(大正2年)に文芸同人誌『仮面』に参加、表紙や口絵を木版画で製作。日夏耿之介や堀口大學の本の装幀なども手掛けている。
1918年(大正7年)、版画技術の習得のためフランスへ渡航。パリでは、当時失われつつあった銅版画の古典的な技法マニエール・ノワール(メゾチント)を独自の形で復興させて版画の歴史に大きな足跡を残した。またエングレーヴィング、アクアチントなど様々な技法も探求。モノクロームで特に前述のメゾチント(マニエール・ノワール=黒の技法とも)と呼ばれる古い版画技法の復活で自身の様式を確立した。フランスへ渡って以来、数々の勲章・賞を受けているが、一度も帰国はせず、パリで没した孤高の版画家だ。
日本の版画界に大きな影響を与えた長谷川の作品だが、活躍の舞台はずっとパリである。1920年代から活動始めた長谷川はほどなくフォーヴ(フォーヴィスム・野獣派)の画家・版画家デュフィに見い出され、マティス、ピカソ、シャガールなど後の巨匠たちが名を連ねる「独立画家=版画家協会」に加わった。
↑長谷川潔 《時 静物画》 1969年、メゾチント

←長谷川潔 《狐と葡萄(ラ・フォンテーヌ寓話)》 1963年、メゾチント

↓長谷川潔 アカリョムの前の草花〔草花とアカリョム〕》1969年、メゾチント上、左、下:すべて町田市立国際版画美術館蔵
同時にフランスの人々に日本を紹介している。日本の古典文学にエングレーヴィングのイラストレーションを添えた挿絵本『竹取物語』を手がけたのだ。
本展では、
長谷川に影響を与えた十九世紀以前の版画やパリで交流した同時代画家の作品とともに町田市立国際版画美術館が所蔵する日本有数の長谷川潔作品コレクションを中心に初期から晩年に至る作品を紹介。
展覧会構成は、序章 日本時代 ―水と空のかなたから呼ぶもの、1章 銅版画の研鑽 ―古典技法の発見と刷新、第2章 パリの版画界 ―画家たちとの交友、第3章 『竹取物語』 ―フランスで刻まれた日本の美、第4章 自然 ―白昼に神を視る、第5章 
↑長谷川潔 『竹取物語』《「貴公子たちの求婚」の章 挿絵》1927-34年(1934年刊)、エングレーヴィング、ドライポイント、町田市立国際版画美術館蔵
静物画 ―マニエール・ノワールの宇宙の6章。見どころは、まず初めて館外展示の町田市立国際版画美術館「長谷川潔作品コレクション」で、渡仏前の明快な構成の初期作品からパリで銅版技法の研究といった探求の時代を経て漆黒の深みの魅力が特徴の晩年のメゾチント作品と長谷川の画業を展観できること。次にパリの長谷川潔の姿も検証。前述の1920年代の「独立画家=版画家協会」に加わった時期の作品に、マティス、デュフィ、ラブルール、スゴンザックなど交流のあった画家の名品も一緒に鑑賞できること。そしてフランス人に紹介した日本の古典・『竹取物語』の仏訳版が鑑賞できること。仏訳の『竹取物語』は、日本の伝統性と西洋文化の融合ともいえる挿絵本の傑作でこれらは、エングレーヴィングやドライポイントによる繊細な線がもたらす気品ある挿絵で格調高作品である。
本展は、特装本にしか入っていないスイット(挿絵部分を別刷りしたシート)も一挙に見ることができる貴重な機会となった。
『町田市立国際版画美術館所蔵 長谷川潔展 ―パリに生きた銅版画家の軌跡』 パナソニック汐留美術館(港区・東新橋) 展覧会会期:2026年7月11日(土)〜 9月23日(水・祝) 開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで) *8月7日(金)、9月4日(金)、9月18日(金)、9月19日(土)は夜間開館 20:00まで開館(入館は19:30まで) 休館日:水曜日(ただし9月23日は開館)、8月10日(月)〜 14日(金)入館料:一般:1200円、65歳以上:1100円、大学生・高校生:700円、中学生以下:無料*障がい者手帳またはミライロIDをご提示の方、および付添者1名まで無料で入館可。主催:パナソニック エレクトリックワークス株式会社 パナソニック汐留美術館、東京新聞 共催:町田市立国際版画美術館 特別協力:横浜美術館 後援:港区教育委員会
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