↑テオドール・キッテルセン《トロルのシラミ取りをする姫》1900年、油彩・カンヴァス、45.5×68.5 cm、ノルウェー国立美術館 Photo:Nasjonalmuseet / Børre Høstland
→エウシェン王子《工場、ヴァルデマッシュウッデからサルトシュークヴァーン製粉工場の眺め》油彩・カンヴァス、90×100cm、スウェーデン国立美術館 Photo: Erik Cornelius / National museum↑ ロベルト・ヴィルヘルム・エークマン《イルマタル》1860年、油彩・カンヴァスに貼った紙、79×111.5 cm、フィンランド国立アテネウム美術館 Photo: Finlands National galleri / Hannu Aaltonen
↑展示風景
↓アウグスト・マルムストゥルム《踊る妖精たち》1866年、油彩・カンヴァス、90×149cm、スウェーデン国立美術館 Photo: Cecilia Heisser / Nationalmuseum
今期のSOMPO美術館では19世紀から20世紀初頭の北欧、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの3か国から国民的な画家たちの絵画を紹介している。→エウシェン王子《工場、ヴァルデマッシュウッデからサルトシュークヴァーン製粉工場の眺め》油彩・カンヴァス、90×100cm、スウェーデン国立美術館 Photo: Erik Cornelius / National museum↑ ロベルト・ヴィルヘルム・エークマン《イルマタル》1860年、油彩・カンヴァスに貼った紙、79×111.5 cm、フィンランド国立アテネウム美術館 Photo: Finlands National galleri / Hannu Aaltonen
↑展示風景
↓アウグスト・マルムストゥルム《踊る妖精たち》1866年、油彩・カンヴァス、90×149cm、スウェーデン国立美術館 Photo: Cecilia Heisser / Nationalmuseum
ヨーロッパの北部、北欧、この区分は一般的にはノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイスランドの5か国を含む。このうち本展で取り上げられたノルウェー、スウェーデン、フィンランドの3か国は、ヨーロッパ大陸と地続きにあるが各国それぞれ異なる独特の文化がある。北欧というと洗練されたデザインのテキスタイルや陶磁器、機能性に優れた家具でも知られているが、優れた芸術作品も多くを生み出してきている。 19世紀、欧州で興った「民族主義」、「国家主義」といったナショナリズムの興隆によりそれまで欧州大陸諸国の美術を模範としていた北欧の画家たちも自国の自然や歴史、文化に関心を寄せるようになった。北欧各地の美しい自然風景、古来から伝わる北欧神話や民間伝承の物語が北欧画家たちにモチーフに描かれ、紹介されていった。
↑ニルス・クレーゲル《春の夜》1896 年、油彩・パネル、48.5×60.1cm、スウェーデン国立美術館 Photo: Erik Cornelius / Nationalmuseum↑テオドール・キッテルセン《アスケラッドと黄金の鳥》1900年、油彩・カンヴァス、46×69 cm、ノルウェー国立美術館Photo: Nasjonalmuseet / Børre Høstland↑展示風景
↑アクセリ・ガッレン=カッレラ《画家の母》1896年、テンペラ・カンヴァス、33×29cm、スウェーデン国立美術館 Photo: Bodil Beckman/ National museum
本展では、今回初のノルウェー国立美術館、スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館の3つの国立美術館を取り上げ、各館の貴重なコレクションから約70点の絵画が紹介される。 ↑アクセリ・ガッレン=カッレラ《画家の母》1896年、テンペラ・カンヴァス、33×29cm、スウェーデン国立美術館 Photo: Bodil Beckman/ National museum
展覧会の構成はまず、19世紀のナショナリズムの影響を受けた北欧絵画が生まれた背景を『序章 神秘の源泉─北欧美術の形成 From Local Sources–A Nordic Art takes Form』で紹介。次に象徴主義の影響から北欧独自の絵画を探求する画家たちを紹介した『第一章 自然の力 The Power of Nature』。続いて『第二章 魔力の宿る森─ 北欧美術における英雄と妖精 The Magical Forest–Heroes and Fairiesin Nordic Art』では、芸術家たちの心を捉えた伝統文化・故国に伝わる民話や伝承からの着想で描かれた作品を取り上げている。北欧民話や神話、またフィンランドの民族叙事詩『カレワラ』として知られる一連の物語などの影響を紹介。最後の『第三章 都市─現実世界を描く The City–Reality into Art』では、北欧絵画に及ぼした19世紀の都市の発展や生活様式への変化を北欧の近代都市の神秘的な光景とその負の影響をそれぞれを展観する。
紹介されるのはいずれも国を代表する画家の作品で、ノルウェーからはムンク、森にすむ動物や怪物といったおとぎ話の世界を描いたテオドール・キッテルセン、スウェーデンからは劇作家・小説家アウグスト・ストリンドバリ、フィンランドからはアクセリ・ガッレン=カッレラの作品などが紹介される。独特の雰囲気と文化をもつ北欧の魅力が感じられる展覧会である。
↑ガーラル・ムンテ《帰還するオースムンと姫》1902-1904年、油彩 ・カンヴァス、62×126.5cm、ノルウェー国立美術館 Photo:Nasjona lmuseet / Jacques Lathion
↓アウグスト・ストリンドバリ《街》1903年、油彩・カンヴァス、94.5 ×53cm、スウェーデン国立美術館 Photo: Erik Cornelius / Nationalmuseum
●ノルウェー国立美術館 Nasjonalmuseet- The National Museum of Norway 1837年、ノルウェーの首都オスロに開館。2003年、ノルウェー国内の博物館の統合により絵画や建築、装飾芸術、デザイン、現代美術といった幅広いジャンルを扱う美術館になる。古代から現代に至るまで約40万点のコレクションを誇り、2022年のリニューアルオープンによって約6,500点を常設展示する北欧で最大規模の美術館となった。(展覧会資料より)↓アウグスト・ストリンドバリ《街》1903年、油彩・カンヴァス、94.5 ×53cm、スウェーデン国立美術館 Photo: Erik Cornelius / Nationalmuseum
●スウェーデン国立美術館 Nationalmuseum - Sweden’s museum of art and design 1866 年、スウェーデンの首都ストックホルムに開館。所蔵品は、紙作品・資料約50万点を含む約70万点。王室コレクションを基礎とし、増改築を繰り返し機能を拡張しながらスウェーデン屈指の歴史的建造物として保存されている。16世紀から19世紀の美術、中世から現代に至るまでの装飾美術や工芸、デザイン等を扱っている。(展覧会資料より)
●フィンランド国立アテネウム美術館 Finnish National Gallery, Ateneum Art Museum 1888年、フィンランドの首都ヘルシンキに開館。もとは美術や工芸を学ぶ校舎として設立された。フィンランド国立美術館のうち、近代美術を主に扱い、約3万点のコレクションを持つ。ロマン主義からシュルレ
↑ ヴァイノ・ブロムステット《冬の日》1896年、油彩・木製パネル、26.5 ×52cm、フィンランド国立アテネウム美術館 Photo:Finlands National galleri / Hannu Pakarinen
←展示風景
至るまでフィンランド美術や同時代のヨーロッパ諸国で展開した美術を概観することができる。(展覧会資料より)←展示風景
●北欧神話/キリスト教に改宗する前のゲルマン人が信仰していた神々の物語のうち、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイスランドなどの北欧地域に伝承されたものの総称。現在の北欧神話は、9-13世紀頃に成立した叙事詩『古エッダ』、13世紀アイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンによる『新エッダ』などに収録された伝承や英雄譚を基盤に形成されている。北欧神話において世界は複数の領域に分かれ、世界樹ユグドラシルがそれらを繋いでいる。神々や巨人、人間、怪物、妖精が共存し、世界の終末「ラグナロク」でこれらすべてが滅び、新しい世界が誕生するとされている。(展覧会資料より)
●ノルウェーの民話/19世紀ノルウェーの動物学者ペーテル・クリステン・ アスビョーンセンは、少年時代からの友人ヨルゲン・ モーとともに各地に語り継がれた民話を採集し、1841年に『ノルウェー民話集』を刊行。これは初めて書籍化されたノルウェーの民話集として国内外で注目を集め、さらに民話集2巻が刊行された。これらの民話には、少年アスケラッドや山に住むトロルがたびたび登場し、囚われた姫の救出や農村の人々が巻き起こす騒動など、幅広い物語が展開されます。民話集に挿絵を寄せた画家テオドール・キッテルセンほか、多くの芸術家の着想源となっている。(展覧会資料より) 『北欧の神秘 ―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画 The Magic North: Art from Norway, Sweden and Finland』 会場:SOMPO美術館(新宿区・西新宿) 会期:2024年3月23日(土)~6月9日(日) 会場:SOMPO美術館 〒160-8338 東京都新宿区西新宿1-26-1 休館日:月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館 振替休館なし) 開館時間:10:00-18:00(金曜日は20:00まで)※最終入場は閉館30分前まで 観覧料(税込):一般/当日券1600円 大学生/当日券1100円 高校生以下無料 身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳を提示のご本人とその介助者1名は無料、被爆者健康手帳を提示の方はご本人のみ無料 主催:SOMPO 美術館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社 特別協賛:SOMPOホールディングス 協賛 DNP大日本印刷 特別協力 スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館、ノルウェー国立美術館、損保ジャパン 協力:フィンエアー、フィンエアーカーゴ 後援:スウェーデン大使館、フィンランド大使館、ノルウェー大使館、新宿区 企画協力:S2 ホームページ:https://www.sompo-museum.org/ お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル) アクセス:新宿駅西口より徒歩5分